子犬のしつけ用の通信講座が人気を集めている。教本や玩具、菓子など一式が毎月自宅に届けられる仕組みで、幼児向けと見まがうばかりだ。国内の犬の飼育頭数は5年連続で減少傾向だが、世帯あたりのペットにかける費用は増加。子供を育てるように愛犬のしつけを充実させたい飼い主の親心があるようだ。(木ノ下めぐみ)
「子供が習い事をするようにお金をかけてあげたい」。ジャックラッセルテリアの幼犬を育てる大阪府八尾市の村上麻梨奈さん(29)は、昨年9月から子犬向け通信講座「こいぬすてっぷ」を始めた。
獣医師の監修を受けて月齢や犬種に応じ、1歳までのしつけの教本と玩具や菓子など計6点が毎月配送される。村上さんが飼っているのは猟犬に適した犬種。運動量が増える生後5カ月号では、切れにくいロープの玩具などのほか、散歩を本格化させる時期に合わせグルーミング(毛繕いと足拭き)を解説する教本が届いた。
村上さんは過去に別の犬種の飼育歴はあるが、玩具をすぐにかみちぎるなど初めての経験も多く、「毎月どの月齢で何をしつければいいのか分かりやすい」と喜ぶ。
月額2980円(税込み)と、幼児向け通信講座と比べても遜色のない価格だが、平成29年5月の開始から、受講数は延べ1万5千件超の人気ぶりだ。
獣医師資格も持つ「こいぬすてっぷ社」(東京)の石田麻実社長(33)は「子育てと同じように子犬に向き合う飼い主が増えた」と分析。その上でインターネット上で異なるしつけ方法が乱立し、飼い主を混乱させていることも人気の要因とみる。
子犬向け通信講座業界は今後も企業の参入が進みそうだ。昨年9月に開始した「すくすく子犬ボックス」も、幼犬用の商品約5点と教本のセットが届く。
運営するペットケア用品販売「カラーズ」(神戸)の担当者は「特に困り事が集中する子犬の時期を支援したい」と参入理由を説明する。2カ月に1度の配送で、1回3500円(税込み)から。子犬を飼い始める前に用意すべき商品を集めた「お迎え準備編」もある。