男性用メーキャップを含むコスメブランドを日本の化粧品メーカーが立ち上げたり、男性でも使いやすい美顔器が発売されたりと、「美を追求する男性」をターゲットにした商品が市場をにぎわせるようになってきた。男性化粧品大手のマンダム(大阪市中央区)の調べによると、男性の化粧水と乳液の基礎化粧品の市場は、平成26年の58億6千2百万円から、30年には79億9千5百万円へと大きく躍進。男らしさが美徳といわれた時代もいまは昔。男性の「美」の価値観も、変わってきたようだ。(木村郁子)
■日本発メークやハイブランドも
日本発男性メーキャップブランドを立ち上げたのは、ポーラ・オルビスグループのアクロ(東京都品川区)。昨年9月から、スティック状のファンデーションやアイシャドー、眉を整えるアイブロウ、口紅やほお紅、マニキュアなど、フルラインアップをそろえた「ファイブイズム・バイ・スリー」を展開する。
東京で同社が開いた期間限定ショップには、80代の男性も訪れたという。同社オフィシャルメイクアップアーティストのヒロキさんは、「『加齢によって眉が薄くなった』『シミやクマを解消したい』など、加齢特有の悩みを持つ50代や60代はもとより、自分磨きのために自由にメーキャップを楽しみたいという20代まで、さまざまな人が訪れます」と話す。
多くの女性はメークをする理由に「社会人のマナー」「トレンドを意識」「印象を変えたい」を上げるが、男性は、メークしていることを気づかれないナチュラルさを求める傾向が強いという。妻や彼女に連れられて売り場を訪れる男性も多く、化粧を施すと「表情が明るくなった」「自信が持てた」と好意的だ。
ハイブランドの「シャネル」は、メンズライン「ボーイ・ドゥ・シャネル」を昨年秋より発売。軽い付け心地のファンデーション、汗に強いアイブロウペンシル、リップクリームの3種類をそろえる。11月には日本と全世界向けに発売されたが、美容意識の高い韓国では9月1日から先行販売されている。