2020年東京五輪・パラリンピックでは、近年の大会で最も厳しい喫煙対策が取られる。大会組織委員会は28日、競技会場の施設内に加え、敷地内も禁煙とすることを発表。「たばこのない五輪」は世界の常識になりつつあるが、喫煙者は海外からも多数訪れることが予想され、周知徹底が課題となりそうだ。
東京大会を目指し、政府は急ピッチで受動喫煙対策の整備に取り組んできた。日本は各国と比較し、取り組みが大幅に遅れていたからだ。世界約190カ国中、屋内禁煙義務の法律があるのは約60カ国。日本では健康増進法の改正前、公共の場所の管理者に受動喫煙防止を求めていたが、努力義務にとどまり、世界最低レベルの法規制だった。
国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は2010年に「たばこのない五輪」の推進で合意。以降、ロンドン(12年)やリオデジャネイロ(16年)など五輪開催国は、罰則を伴う法規制を整備してきた。
日本でも五輪招致の成功後、議論を拡大し、受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が昨年7月に成立。公共の場での屋内禁煙を初めて罰則付きで義務付けたのが特徴だ。