パリの窓

親1号、親2号?

 学校では「お母さん、お父さん」ではなく、「親1号、親2号」と呼ぶ-。こんな条項を盛り込んだ法案が最近、フランス下院で可決された。

 同性婚家族への差別解消のためで、マクロン政権の与党議員が要求し、左派野党も支持した。同国では同性婚が合法化され、養子縁組も可能。同性カップルの子供は20万人を超えるとの推計もある。

 PTA代表は「社会の現実に沿った措置。子供が『普通と違う』といってイジメにあうこともなくなる」と法案を歓迎したが、保守派から「家族制度が崩壊する」「どちらが1号かをめぐって夫婦の争議になる」との反対が続出。国民教育相も「父、母の呼称を消す必要はないのでは」と注文を付け、今後の国会論議で再検討される見通しになった。

 「これで騒ぎも落着」と思ったら、若い友人が「現実にはもう使われているよ。ウチでは父が親1号だ」というので驚いた。税務署や国鉄の文書で「親1号、親2号」の記載は広がっており、パリ市議会も昨年、採用方針を決めたとか。

 件(くだん)の法案は「学校の信頼構築」法案という。「自由と平等」という国の価値観を教育現場でも徹底させるべきだ、ということなのだろう。さて、どうなりますか。(三井美奈)

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