海上保安庁で発覚した無登録の投資運用団体への投資問題で、海保は26日、既に退職した元海保官11人の関与が疑われると明らかにした。11人は現役当時、第3管区海上保安本部(横浜市)のほか、7管本部(北九州市)、9管本部(新潟市)、10管本部(鹿児島市)に所属。全国の若手海保官が元職員らから勧誘を受けており、3管本部の現役海保官2人が投資の取引を継続しているという。
複数の現役海保官は産経新聞の取材に「現役で投資を続けている職員がいる」と証言。海保によると、3管本部の2人が聞き取り調査に対し、現在まで投資取引を続けていることを認め、他の3人も取引継続の疑いがあるという。海保は昨年10月、全国の各所属に注意喚起していた。
3管本部の宮崎一巳本部長は26日の定例会見で、投資に関与していた疑いのある元海保官11人のうち7人が3管本部に所属していたと明らかにした。うち3人は、退職時の面談で投資運用団体との関係を認めたという。宮崎氏は「海上保安学校で税金を用いて学んだ職員がこういった形で辞職し、極めて重大な責任を感じている。心よりおわびしたい」と陳謝した。
会見に同席した3管本部の高木正人総務部長は「職員らに投資に関する知識や判断力が不足していた。現在、元職員や現役職員による勧誘はない」と説明した。警察への事件相談はしておらず、調査を継続し、再発防止策を検討するとしている。
関係者によると、11人の多くは20、30代とみられ、大金を得られるなどと誘われて投資に参加、順次退職して勧誘側に回ったとされる。ただ、投資運用団体は金融商品取引業の登録を受けておらず、海保は詐欺的な商法の可能性があるとの見方を強めている。