兵庫・新温泉町の酒蔵「文太郎」で50年ぶり新酒 4月初めに販売、特産化目指す

新温泉町で約50年ぶりに始まった新酒づくり
新温泉町で約50年ぶりに始まった新酒づくり

 新温泉町の前町長、岡本英樹さん(68)が、但馬杜氏(たじまとうじ)の技を生かして挑む同町用土の新しい酒蔵「文太郎(仮称)」で21日、待望の新酒づくりが本格化した。同町での日本酒醸造は約50年ぶりで、特産化を目指す。3月中頃に正式な会社名や銘柄を発表、4月初めには新酒を販売する。

 美方郡(新温泉、香美両町)の但馬杜氏は全国的に有名だが、昭和40年代の約3千人をピークに減少。平成29年度は88人となり、高齢化している。

 「このままでは新温泉町の杜氏技術が廃れてしまう」。岡本さんは町長選に初当選(平成21年)したときから、「地元で但馬杜氏の手による日本酒を醸造したい」と強く思っていた。

 昨年初め、醸造を休止していた京都府京丹後市の酒造会社の社長を引き継ぎ、新温泉町用土の元牛乳加工場(約300平方メートル)を買い上げ、11月から今年に入って醸造所として整備した。

 この日は、責任者の但馬杜氏に迎えた田村豊和さん(83)と指導役の森口隆夫さん(76)らが酒母室で、櫂(かい)を使った初めての酒母づくりを行った。

 田村さんは「新温泉町で地酒をつくれることはうれしい。気候的には暖冬で厳しい条件だが、飲んでおいしい酒をつくりたい」と話した。

 初回は全体で約7500リットルを生産する。社名は新田次郎の小説「孤高の人」のモデルとなった同町出身の登山家の加藤文太郎にちなみ、新酒も同町にふさわしい銘柄を検討。今秋の酒の仕込みから生産量を拡大していくという。

 岡本さんは「当初よりも酒づくりは遅れたが、地酒として地元に愛されることを確信している。但馬杜氏の人材育成にも取り組み、販売に力を入れて酒蔵を大きくしたい」と期待をにじませた。

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