金正恩委員長宛てのメッセージ 拉致家族会、安倍首相に手渡す

拉致被害者家族らと面会する安倍晋三首相(右)=19日午後、首相官邸(春名中撮影)
拉致被害者家族らと面会する安倍晋三首相(右)=19日午後、首相官邸(春名中撮影)

 北朝鮮による拉致被害者家族会は19日、首相官邸で安倍晋三首相と面会し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に向けて初めて発表した全被害者帰国を求めるメッセージや、救出運動の新たな運動方針を手渡した。

 家族らは、27日から開催予定の米朝首脳会談を前にトランプ米大統領と電話会談する見通しの安倍首相に、全被害者の即時一括帰国も強く要望。安倍首相は面会で「メッセージに込められた思いを受け止め、どのように拉致問題を解決していくか伝える」などと応じた。

 家族会代表で田口八重子さん(63)=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(80)は面会後の取材に「(運動方針やメッセージは)拉致問題解決に向けての良い材料になるのでは、と思っている。日本政府には米朝首脳会談を含め、機会を逃さないよう期待している」と話した。

 一方、横田めぐみさん(54)=同(13)=の母、早紀江さん(83)は「解決にアメリカの力も必要」とした上で「政府には金正恩氏本人が私たちの思いを直接理解してもらえる形になるよう、お願いしたい」と日本の取り組みの加速を求めた。

 メッセージは「全拉致被害者の即時一括帰国を決断していただきたい」との表題で17日に発表。被害者の即時一括帰国が実現すれば日朝国交正常化に反対せず、帰国被害者から秘密を聞き出す意思もないとし、「拉致被害者と静かな日常生活を送ることを切望している」と訴えている。

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