主張

自衛官募集問題 どちらがフェイクなのか

 安倍晋三首相が、自衛隊員の募集業務に協力していない自治体が全体の6割以上に及んでいるとして、憲法に自衛隊を明記して事態を是正しようと呼びかけたことが議論を呼んでいる。

 朝日新聞や野党などは自治体の「約9割が募集に協力している」として、首相の発言は間違いだと批判している。

 だが、安倍首相のほうがファクト(事実)を指摘し、朝日新聞や野党などがフェイク(偽り)を語っているのではないか。

 安倍首相は国会で、6割以上の自治体から「募集に必要な協力が得られていない。誠に残念だ」と述べた。憲法への自衛隊明記で「そういう空気は変わっていく」と訴えた。

 自衛隊法と同法施行令は、隊員募集に必要な資料の提出を、自治体の法定受託事務としている。防衛省は自治体に、募集対象者の氏名、生年月日、性別、住所のデータを載せた名簿を、紙か電子媒体で提供するよう求めている。

 平成29年度に要請に応じたのは全1741市区町村のうち36%であり、残り64%は提供しなかった。過疎地で人口が少ない自治体を除く53%の市区町村では、募集業務に当たる隊員が、住民基本台帳法の規定を用いて、膨大な資料を手書きで写したり、閲覧したりするしかなかった。

 朝日新聞や野党などは36%にこの53%を加え、約9割が協力したと言って首相を批判している。

 本気で言っているのか。紙か電子媒体を出せば済むのにそうせず、募集業務担当の現場の隊員に膨大な作業を強いた。こういう振る舞いを協力とは言わない。募集に関する業務をサボタージュしていると言われても仕方ない。

 首相が「6割以上で協力を得られていないのはファクトだ」と語ったほうが理にかなっている。

 無理な論法で首相の問題提起を退けるのは、「改憲の理由にはならぬ」(14日付朝日新聞社説)と言いたいからだろう。

 だが、憲法9条を根拠に、多くの憲法学者が自衛隊違憲論を唱えている。自衛隊の整備や活用を嫌い、軽視する空気が護憲色の濃い公務員の間に存在するのは誰もが知っている。それが自衛官募集への非協力につながっている。

 衆参両院の憲法審査会などで、憲法改正論議を大いに進めなくてはならない。

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