死亡した経緯については訴因に含まれないため言及しなかったが、おおむね検察側の主張を認める内容となった。
山田裁判長は判決理由を述べた後、「あなたの行いがなければ(内山さんは)亡くなることはなかった。あなたなりの反省の態度を示していく必要があることを忘れないでください」と呼びかけた。「はい」と力なく返答し、裁判官や検察に深く一礼をして法廷を後にした鈴木被告。その脳裏には何がよぎったのか。
肝心な真実は何一つ明らかにならないまま、公判は終わりを迎えた。
「この裁判では最も肝心な殺人が抜けている。殺人に対する責任が取れないのであれば、自分の死をもって命の重さを知ってもらうしかない」
遺族の叫びが頭から離れない。
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▼事件の経過
昨年5月26日 浜松市の看護師、内山茉由子さんが市内で車ごと連れ去られる
6月8日 逮捕監禁容疑で伊藤基樹容疑者を逮捕
9日 藤枝市の山中で内山さんの遺体発見
11日 同容疑で鈴木充容疑者を逮捕
15日 新潟市内のビジネスホテルで主導役とされる男の遺体発見。その後、自殺と判明
29日 営利目的略取と逮捕監禁の罪で伊藤容疑者を起訴
7月2日 営利目的略取と逮捕監禁の罪で鈴木容疑者を起訴
17日 詐欺容疑などで鈴木被告を再逮捕。その後、詐欺罪で追起訴
8月16日 死体遺棄容疑で鈴木被告を3回目の逮捕。その後、同罪で追起訴
9月6日 殺人容疑で鈴木被告を4回目の逮捕、伊藤被告を再逮捕
26日 両被告の殺人容疑を不起訴
10月15日 殺人や死体遺棄、営利目的略取容疑などで主導役とされる男を容疑者死亡のまま書類送検、その後容疑者死亡で不起訴
11月9日 伊藤被告の初公判
12月6日 鈴木被告の初公判
12月20日 伊藤被告に懲役4年の判決(求刑懲役7年)
今年1月18日 鈴木被告に懲役10年を求刑
2月15日 鈴木被告に懲役7年の判決