保険の種類に関わらず返戻率で一律に規制するという過去の規制と比べても段違いに踏み込んだ内容に、「想定以上に厳しい」(生保関係者)と動揺が広がった。見直し案の確定まで業界全体で販売を自粛する方向だが、一部外資系では当面販売を続ける社もあるため、「抜け駆けだ」と不満の声も出ている。
経営者向け保険に注目が集まったのは平成29年春、業界最大手の日本生命保険が節税メリットを前面に押し出した商品を発売したのが発端だ。好景気で黒字が増えた中小企業の節税ニーズを取り込んで人気を博し、他の大手も追随した。
長引く低金利で生保が契約者に約束する予定利率は引き下げられ、個人年金保険の魅力は低下。新規契約は年間88万件(29年度)と過去5年で4割減り、経営者向け保険は新たな収益源として魅力的だった。過去の経験から規制強化の可能性は各社も認識しており、節税効果を抑える商品内容の見直しを検討する動きもあったが、当局からその場しのぎとみられたようだ。