浪速風

空疎なスローガンしか記憶にない

「理想というものは一番スローガンに堕し易い性質のものです。(略)若しも理想がスローガンに過ぎないのならば、理想なんか全然持たない方がいい」。近代批評の第一人者であった小林秀雄は「歴史の魂」でこう書いている。勇ましいスローガンが国を誤らせた戦時中の文章である。

▶米軍普天間飛行場の移設を、当時の鳩山由紀夫首相が「最低でも県外」。大型公共事業の象徴として群馬県の八ツ場(やんば)ダムの建設を中止させようとした「コンクリートから人へ」。事業仕分けでの蓮舫参院議員の「2位じゃだめなんですか」。まだまだあるが、思い出すのは空疎なスローガンばかりだ。

▶そんな民主党政権を安倍晋三首相が「悪夢のような」と表現した。民主党代表や副総理を務めた岡田克也氏は「撤回を求める」とかみついたが、期待を大きく裏切ったことは確かだろう。党名を変え、分裂してなお支持率は低迷し、再びの政権獲得は遠い。真摯な反省がないからだ。