経済企画庁(現内閣府)長官を務めた作家で経済評論家の堺屋太一(さかいや・たいち、本名池口小太郎=いけぐち・こたろう)さんが8日、多臓器不全のため死去した。83歳だった。堺屋さんは、官僚時代から近未来予測小説や「団塊の世代」といった流行語を次々と生み出すなど、マルチな才人だった。イベントプロデューサーとしても、万博などの大規模プロジェクトの実現によって「世界の中の日本」のありようを発信。晩年も時代の仕掛け人として未来の日本の進むべき方向を提示し続けた。
高齢化問題を予測
堺屋さんの名を一躍有名にしたのは、通商産業省(現経済産業省)時代の昭和51年に発表した「団塊の世代」だ。
厚生省(現厚生労働省)の技官から「戦後直後の出生数が極端に多い世代(第1次ベビーブーム世代)が将来の社会の重しになる」との指摘をきっかけに執筆。団塊の世代の高齢化問題を先取りする近未来予測小説として、100万部以上を売り上げるベストセラーになった。
一方、担当官庁の担当者らは、ベビーブーム世代の出産により出生数は激増する-との見立てから「高齢者人口が過剰になることはない」と同作の予測を一蹴した。
堺屋さんは当時を振り返った本紙の記事で、「官僚は長期的な視点が持てず、一時の権限拡張と予算拡大にしか興味がない。このため、人口対策は非常に遅れた」と官僚主義の弊害を批判した。