漫画家やなせたかし生誕100年 累計8000万部…愛される「アンパンマン」

作風に影響した戦争

 アンパンマンは困っている人のところに飛んでいき、自分の顔を分け与える。そこに何の見返りも求めない。作品からにじむのは、苦しんでいる人、悩んでいる人に向けた優しいまなざしだ。

 「若いころの戦争経験が(作風に)影響を与えたのでしょう」。平成24年に日本漫画家協会理事長の座をやなせさんから受け継いだちばてつやさん(80)=現会長=はこう話す。「戦地でも焼け野原になった日本でも、飢えや栄養失調で多くの人が倒れた。おなかがすくのがどれだけつらいか、食べ物を分けてもらえることがどんなにうれしいか、身近にいる人に手をさしのべることがどんなに大事か-を知っていた人なんですね」

 昭和28年の漫画家デビュー後、なかなかヒット作が出ず苦労したこともあり、若手の面倒見が良かったやなせさん。多くの漫画家が精神的、経済的に助けられたという。ちばさんは「やなせさんは人を笑わせたり、楽しませたりするのが大好きな人。漫画家仲間にとって、やなせさんご本人がアンパンマンでした」としのんだ。