社説検証

広がる統計不正 産経は「政府全体の規律の緩み」 朝日「甘い検証で真相うやむや」

記者会見で頭を下げる根本匠厚生労働相=1月22日、東京・霞が関の厚労省(三尾郁恵撮影)
記者会見で頭を下げる根本匠厚生労働相=1月22日、東京・霞が関の厚労省(三尾郁恵撮影)

厚生労働省が長年にわたって「毎月勤労統計」を杜撰(ずさん)な方法で調査していた問題は、組織的に不正を隠蔽(いんぺい)した疑いまで浮上している。真相を究明するために厚労省が設置した特別監察委員会についても、同省幹部が多くの職員に聞き取るなど「お手盛り調査」が明らかになり、その中立性や客観性に疑念を持たれて再調査に追い込まれた。

他省庁の統計でも相次いで不備がみつかり、政府はすべての政府統計の点検を決めた。政府統計に対する信頼が揺らげば、政府の政策の正当性も崩れかねない。各紙とも厚労省をはじめとする政府の姿勢を厳しく批判した。

産経は「統計は、国の政策を企画・立案するうえでの基盤である。その意識があまりに希薄だったのではないか」と疑問を呈した。そして「類似した不祥事の頻発は、政府全体の規律の緩みの表出ではないか。安倍晋三首相は綱紀粛正の先頭に立つべきだ」と首相が率先して事態収拾にあたるように訴えた。

読売も「厚労省の失態は目を覆うばかりである」と難じたうえで「聞き取り調査の多くは、幹部を含む身内の職員だけで行われた。客観性や公正さに疑義が生じたのは問題である。厳正な再調査が求められよう」と指摘した。

厚労省の不正は「賃金構造基本統計」でも明らかになった。この調査は調査員が事業所に出向いて調査票を配布・回収するのが決まりとなっているが、同省は郵送に変更していた。政府の一斉点検でもこの違反は報告されなかった。

このため、朝日は「こんな対応が続くようでは、根本氏の大臣としての資質を、疑わざるをえない」と根本匠厚労相の責任を追及した。さらに「役所で起きた不祥事を、その役所による甘い検証に委ね、真相はうやむやのまま済ませる。その繰り返しでは、行政への信頼は回復不能なまでに損なわれかねない」と強い懸念を示した。

「各省が別々に採用している統計の専門職員を独立した組織に一元化するなど、抜本的な改善策を検討すべき段階だろう」と問題提起したのは毎日だ。さらに同紙は「統計不正は旧民主党政権のときも続いていた。官僚組織をコントロールできなかったという意味では与野党全体の責任だ」などと国会による調査の必要性も指摘した。

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