浪速風

鬼畜に劣る、いや動物に恥ずかしい

先日、「ホッチャレ」を紹介した。海を回遊して大きくなった鮭は、産卵のため生まれた川に戻ってくる。流れに逆らう厳しい旅で、傷つき痩せてぼろぼろになる。ようやく卵を産むと、力尽きて川面にその身を横たえ、一生を終える。そんな鮭を北海道では「ホッチャレ」と呼ぶ。

▶ヒバリは「擬傷」という自己犠牲の行動をとる。子育てをしている巣に敵が近づくと、あたかも傷ついて飛べないようなしぐさをして注意を引きつけ、ヒナを守る。カバキコマチグモは、脱皮した子グモが母グモにとりついて、体液を吸い取ってしまう。母グモは抵抗せず、やがて絶命する。

▶千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡した事件で、父親の暴行を黙認していた母親も逮捕された。父親は虐待を隠すため、心愛さんに「お父さんに叩かれたのは嘘」などと書かせていた。「鬼畜にも劣る」とは言うまい。命がけで子孫を残し、子育てをする動物たちに恥ずかしい。