鬼筆のスポ魂

ガルシア移籍の謎 最後に笑うのは

阪神の宜野座キャンプで投内連係に臨むオネルキ・ガルシア。後ろは西勇輝=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・水島啓輔)
阪神の宜野座キャンプで投内連係に臨むオネルキ・ガルシア。後ろは西勇輝=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・水島啓輔)

 「虎のガルシア」は誕生した経緯も謎なら、今季の先行きも謎に満ちている。矢野燿大(あきひろ)監督(50)率いる阪神で大きな期待を寄せられている新外国人オネルキ・ガルシア投手(29)のことだ。

 米大リーグ、ロイヤルズの3Aから中日に加入した昨季は27試合に登板してチームトップの13勝(9敗)を挙げ、防御率2・99の成績を残した。ところがシーズン終了後、残留交渉が決裂。昨年12月2日に自由契約公示されると同17日、阪神への入団が発表された。

 中日にとって勝ち頭の左腕が流出したのは痛恨だろうし、まんまと獲得した阪神にとっては最高のギフト。ただ、中日の球団関係者はいまだにガルシアの阪神入りの経緯に首をかしげている。なぜなら、獲得した阪神の条件は年俸1億7千万円の単年契約なのに、残留交渉で中日が提示した条件は一説によると年俸2億円の2年契約。条件面では勝っているのに横取りされたからだ。

 「森繁和前監督から与田剛(つよし)監督に交代したのに伴い、球団フロントにも人事異動があった。その過程でさまざまな派閥争いがあったと聞く。内部の混乱がガルシア流出の原因かもしれない」とは中日の球団関係者。フロントの人事異動がガルシアとの残留交渉に影響を及ぼした、と推測していた。

 一方で阪神球団には、こんな声がある。

 「ガルシアが名古屋の街になじめず愚痴をこぼしているという情報は、シーズン中からキャッチしていた。それに、中6日で先発しているのに登板日以外の日も休みがないことにも不満を募らせていた」

 阪神はガルシアの退団をあらかじめ想定し、準備を整えていたのだという。ただ、中日球団内部の混乱が原因なのか、名古屋嫌いが真相なのか、退団の決定的な理由は分からない。謎めいた移籍劇の末に「虎のガルシア」は誕生した。

 そして、先行きにも謎が多い。ガルシアは昨季13勝のうち12勝がドーム球場(ナゴヤドーム10勝、東京ドーム2勝)で、屋外球場ではマツダスタジアムでの1勝しか挙げていない。新しい本拠地の甲子園球場では2試合投げて1敗、防御率は7・20。セ・リーグ6球場の中で断トツに成績が悪い。

 「ドームで投げているときと屋外では、球の質が全然違った。どうしてあんなに違うのか、さっぱり分からなかった。でも阪神は、甲子園でガルシアを投げさせないわけにはいかないでしょう(笑)」とは中日の球団関係者。阪神は今季から甲子園球場のマウンドをナゴヤドームのように硬くする。まさにガルシア対策だが、果たして甲子園病は一掃されるのかどうか、これまた謎に満ちている。

 ガルシアはいま、阪神の宜野座キャンプで汗を流している。調整はほとんど本人任せ。第1クールはブルペンに入らず、5日に始まった第2クールから徐々にギアを上げ、投球練習を開始する。

 中日と阪神のどちらが最後に笑うのか。「ドームでしか勝てないけど、ウチに負けたらどこで投げるんだ」と語ったのは、中日前監督の森繁和シニアディレクター。阪神が「負け犬の遠ぼえ」と一笑に付すのは少々、早い気もする。

 =金額は推定

 (特別記者)