新石器時代の中国遺跡で結核症の人骨 東アジア最古

 鳥取大学や東京大学など日中共同の研究グループは4日、新石器時代中期(5千年以上前)の中国の遺跡で出土した人骨から、東アジアで最古となる結核症を確認したと発表した。

 同グループの代表者で、鳥取大医学部の岡崎健治助教(自然人類学・解剖学)によると、同グループは5年前から、水田稲作の起源地とされる長江デルタ地域の広富林遺跡(上海市)を現地調査。中国側が2010年度に発掘した新石器時代の墓約300基から出土した人骨のうち184体を詳細に分析した。その結果、成人女性(死亡推定年齢20代後半~30代前半)から結核症の典型例の脊椎カリエスなどが見つかった。

 結核菌がヒトの間で空気感染を繰り返して生き残るためには200~400人規模の集団生活が条件となるが、こうした社会環境は新石器時代以降の農耕の発展で可能になる。このため、農耕の発展が結核菌とヒトの共生を築いたとする仮説があり、岡崎助教は「水田稲作の起源地で結核症を確認したことは、この仮説を裏付ける成果」と評価している。

 また、日本最古の結核症は弥生時代の青(あお)谷(や)上(かみ)寺(じ)地(ち)遺跡(鳥取市)の人骨で、縄文時代は未発見。このため、弥生時代に中国大陸からの渡来人が稲作だけでなく結核も持ち込んだとも考えられており、「日本人の起源の問題に関連する古代の結核の拡散ルート解明につながる」(岡崎助教)としている。

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