原発最前線

事故後の基準検証した放射線審議会の「収穫」は

放射線基準について「福島の教訓」をまとめた放射線審議会総会=平成31年1月25日、東京都港区
放射線基準について「福島の教訓」をまとめた放射線審議会総会=平成31年1月25日、東京都港区

 東京電力福島第1原発事故後に策定された放射線基準について、検証していた国の放射線審議会は25日の総会で、今後策定される基準について、数値が独り歩きしないよう意を尽くし、状況が変化したら妥当性を検証すべきだなどとする「福島事故の教訓」をまとめ、了承した。現行基準を見直すといった耳目を引く結果はなかったが、委員らは一定の評価を与えた。収穫は何だったのか。

(社会部編集委員 鵜野光博)

科学と政策をつなぐ

 「このドキュメント(文書)は科学と政策の間をつなぐもので、今までの文書に不足していた部分だと思う。一番求めていることは数字だけでなく、それを導出する仮定、条件、適用すべき対象などをきちっと説明する必要があるということであり、さらに継続的に見直すべき必要があることを言っている」

 審議会会長の神谷研二・広島大副学長は総会で、まとめられた「教訓」の意義についてこう整理したうえで、「政策を決める上でも重要なポイントではないか」と指摘した。

 検証の大きなテーマとなったのは、数字の「独り歩き」と「固定化」だった。数字とは、「一般食品1キロ当たりの放射性セシウムが100ベクレル以下」、除染の目安とされてきた「空間放射線量毎時0・23マイクロシーベルト」といった、事故後に設けられた基準のことだ。

 これらの基準は、個人の追加被爆線量を年間1ミリシーベルト以下にするという長期目標に基づき、被爆線量を低下させるための指標として導入された。食品の場合は「半分が放射性物質で汚染されている」、空間線量は「遮蔽効果0・4倍の木造家屋に1日16時間滞在する」などの仮定のもとで算出されており、数値は安全寄りに設定された。

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