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宇宙誕生時の謎を解く「原始重力波」の検出を目指し、日本の観測計画が相次ぎ本格的に動き出す。宇宙は誕生直後に急膨張したとする「インフレーション理論」を裏付ける試みだ。成功すればノーベル賞級の成果で、世界中の研究者が一番乗りに向けてしのぎを削っている。
南米と大西洋に電波望遠鏡
日本の計画で最も進んでいるのは、南米チリのアタカマ高地にある電波望遠鏡「ポーラーベア2」。宇宙から届く微弱な電波をとらえて原始重力波の痕跡を探す。昨年末に試験観測が始まった。
日米欧などの国際プロジェクトで、2012年から初代の望遠鏡で観測してきた。より高感度の後継機を日本が製造し、大気の影響を受けにくい標高5200メートル付近の砂漠に設置。今年4月に本格観測が始まる。
一方、同月から試験観測を始めるのが電波望遠鏡「グランドバード」だ。日本が望遠鏡の本体を作製し、大西洋に浮かぶスペイン領カナリア諸島の標高2400メートル付近に来月設置される。年内の本格稼働を狙う。
日本が主導してオランダや韓国なども加わり、全天の半分近くを24時間体制で観測。原始重力波の検出に特化することで装置を小型化するなどし、開発費を約2億5千万円に抑えた。