第35回土光杯全日本青年弁論大会 受賞者5人の要旨

 私は、昨年春まで6年間、地元北海道の農業団体に勤務しており、無人農業ロボットなどの最先端技術の普及を進める仕事をしてきました。新人時代に農業実習をした農家では、毎年種まきや収穫の繁忙期になると近所の人たちや兄弟が総出で作業を手伝いに来ていました。しかし、ここ数年でそうした人たちも年を重ねて体がもたなくなってしまい、やむを得ず派遣会社に求人を依頼するものの、どこの農家からも求人が殺到する状況で思うように人が集まりません。隣の農家は、人手不足で経営を維持することができなくなり、昨年農地を手放して離農してしまいました。このような光景を現場で数多く目にしてきました。

 農林水産省によると、日本の農家の平均年齢は67歳。農業人口はこの15年で何と4割も減少しており、今後も高齢化が進みます。農業現場では人手不足が一刻の猶予もない喫緊の課題となっているのです。

 そこで、近年注目されているのが無人農業ロボットです。しかし、普及に向けた最大の課題は国の法整備が追い付いていないことです。例えば、農薬散布のドローンは、自動飛行の機能が備わっているにもかかわらず、農水省のガイドラインによって自動飛行は禁止されています。さらに、ドローンの操縦者に加え、もう1人が補助員として常時飛行を監視することが義務づけられており、1台のドローンを飛ばすのに2人の人手を要するのが現状です。

 農業の衰退は国力の衰退に繋がります。最先端技術の普及によって農業を守り抜くことは、私たちの命の源である食料の生産を守り抜くことであり、国民生活の根幹を支える最も重要な課題であると考えます。

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