「毎時0・23マイクロシーベルト」一人歩きした安全基準 国審議会、実態との乖離指摘

 国の放射線審議会は25日の総会で、東京電力福島第1原発事故後に策定された除染の目安となる空間放射線量毎時0・23マイクロシーベルトについて、改めて実態との乖離(かいり)を指摘した。それでも見直しを求めない背景には、数値が「安全基準」として浸透したことがあり、要因には空間線量と個人が被曝(ひばく)する線量の混同が挙げられる。審議会でも「数値だけ伝えても意味がない」として、数値の意味合いや不確実性について説明不足だったとする反省の声が漏れた。

 ■「目安」が混同されていき…

 毎時0・23マイクロシーベルトは、政府が長期目標に据えた個人の年間追加被曝線量1ミリシーベルトを1時間当たりに換算したものだ。条件は1日のうち野外に8時間、木造家屋に16時間滞在すると仮定し、外部被曝線量は空間線量の0・6倍として算出された。

 この基準値は、同原発事故後に旧原子力安全委員会などが示した長期目標「年1ミリシーベルト以下」に基づき環境省が算出。計算式に当てはめる条件は仮定を重ねたもので、あくまでも基準は除染対象の地域を絞り込むための「目安」だった。

 ただ、国会論戦などで「年1ミリシーベルトを1時間当たりに換算した」と省略された説明部分が強調され、混同されていったとみられる。国会では「1時間の線量が0・23マイクロシーベルト以上だと年間被曝量が1ミリシーベルトを超えるホットスポット」と、正確性を欠いた発言をする議員もいた。

 ■食品基準値も「必要性説明できぬ」

 当時、除染作業に追われた福島県浪江町の担当者は「0・23マイクロシーベルトという数字にこだわっていなかったが、住民から『0・23まで下げろ』と要望があった」と明かす。また、同県南相馬市の担当者は「市民の多くは数字の区別がついていなかった」と振り返った。

 審議会では委員から「仮定やシナリオなど不確実性も包み隠さず説明することで(数値の)一人歩きを防げる」との声が上がった。

 一方、食品に関する基準値も欧米より大幅に厳しく、食品の50%が汚染されていると仮定した算出方法が現在も使われている。規制庁によると、今では基準値を超える食品はほぼなく、審議会も考え方の中で「現行基準値を使用し続ける必要性を説明できない状況」と矛盾を認めている。

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