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ステンドグラス作家・藤原俊さん(40) 小瀬戸に工房「魅力の発信拠点に」

 昨年12月、静岡市葵区小瀬戸にステンドグラス工房「Sun crafts(サンクラフツ)」をオープンしたステンドグラス作家の藤原俊さん(40)。静岡市出身で20代、30代は関東を拠点に活動してきたが、先頃、かつて祖父母が暮らし、空き家となっていた小瀬戸の古民家に家族で移り住み、作業小屋(茶工場)を工房としてリフォーム中だ。ステンドグラスの魅力を幅広い世代に伝えていくとともに、静岡の地にしっかりと根ざした活動を進め、人と人が触れ合う場を作り出したいと意気込む。 (那須慎一)

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 --ステンドグラスと出合われたきっかけは

 「東京芸術大で油絵を学ぶ中で、仏の画家、ジョルジュ・ルオーの油絵が重厚ながら内側から光を感じさせるステンドグラスのようで、とてもひかれました。予備校時代にステンドグラスの制作に携わっていたこともあり、大学院で専攻し、ステンドグラス作家として今にいたっています」

 --ステンドグラスの魅力は

 「部屋などに飾る絵画と異なり、建築の中に必ず入るものです。オーナーの方々の要望に応え、はめ終わった後に『ありがとう』と言っていただけることにやりがいを感じます。また、もともとステンドグラスの見え方は、太陽の光に任せる部分が多く、自然と大きく関わる点も魅力に感じます」

 --静岡に戻って来られた理由は

 「現在の住まいは、元は茶農家だった祖父母が暮らしていた空き家で、工房は作業場だった場所です。小さい頃から何度も訪れ、近くを流れる川で魚釣りをして遊ぶなど良い思い出もあり、もう一度、豊かな自然の中で暮らしてみようと決断しました」

 --藤原さんの作品のこだわりは

 「学生時代に、障子格子を生かしながら、すべてを色ガラスで埋めてしまうのではなく、庭の樹木を借景にした和をモチーフとしたステンドグラスに出合いました。日本のステンドグラス作家の草分け的存在であり、静岡出身で母校の大先輩にあたる小川三知(さんち)さんのもので、多くの影響を受けました。私の作品も、小川さんの作品にヒントを得て、透明なガラスに富士山や四季の花々をあしらったものを制作するなど、外と室内を隔てず、日本建築にも映えるステンドグラスの作品を中心に手がけてきました」

 --自然を取り込むことが大切であると

 「ステンドグラスというとカラフルで高級というイメージがあるが、本来は自由なもの。(私は)自然を取り込み、ランドスケープ(景観)とつながり、人間が豊かに暮らせることが大切だと考えており、そうしたことを提案していけたらと思います。一度(ステンドグラスを)入れていただければ、100年スパンで思い出とともに受け継がれる。家族の宝物となるでしょう」

 --静岡の地に移られ、今後、どのような活動をしていくか

 「(昨年)10月に『小瀬戸の文化と歴史を未来につなぐ会』を発足しました。小瀬戸城跡などを整備し、あらゆる方が来て気持ちの良い場所にしたいです。加えて、小瀬戸の歴史を大切にしていくとともに、子供たちにも生まれ育った場所の歴史を学んでもらえるようにしていきたいと考えています。先日も小瀬戸を巡るツアーを企画し、地元の方々がお茶やイノシシ肉など地元の素材による料理などでおもてなししたことで、参加した皆さんに喜んでいただきました。小瀬戸の集落は約80世帯、280人ほどが暮らしていますが、やはり、年々若い世帯は減っています。歴史をはじめとする地域の魅力を発信し、盛り上げていけたらと思います」

 --その中で、サンクラフツはどういった存在でありたいか

 「多くの方が小瀬戸に来られる際に立ち寄っていただけるポイントとして存在し、小瀬戸の魅力の発信拠点となり、人と人を結びつけられたらうれしいです。猫をデザインした小型の時計作りといったステンドグラス教室も開始し、『ステンドグラス=大型作品』だけではないことを伝えていきたいですね」

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【プロフィル】ふじわら・しゅん

 昭和53年6月生まれ。東京芸術大学大学院壁画研究室(ステンドグラス専攻)修了。平成20年、同大学院同研究室教育研究助手を務める傍ら、世界遺産ガッラ・プラチディア廟モザイク壁画保存修復調査に連携研究者として参加。23年、ステンドグラスバロック(さいたま市)でデザイン・企画室チーフ。30年12月、ステンドグラス工房「Sun crafts(サンクラフツ)」代表。静岡市駿河区出身。

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