スバル社員投身自殺 過労と「上司トラブル」で労災認定

 SUBARU(スバル)の男性社員=当時(46)=が、上司の厳しい叱責(しっせき)や長時間労働を苦に鬱(うつ)病を発症して自殺し、太田労働基準監督署(群馬県)が男性の自殺を労災認定していたことが24日、分かった。認定は平成30年8月3日付。

 記者会見した遺族側弁護士によると、男性は6年にスバル(当時は富士重工業)群馬製作所に入社し、25年2月から水質や土壌などの公害防止にかかわる担当になった。28年12月に「自分の力ではどうすることもできない」との遺書を残し、同所の屋上から飛び降り自殺した。

 労基署は自殺の原因に上司とのトラブルを認めた。男性は28年春ごろから、昇進試験の準備や日常業務について、上司の課長から繰り返し指導などを受けるようになった。目撃した複数の社員によると、「部屋の外に聞こえる大声で叱られた」「上司の前で立たされていた」という。

 同年7月からは、新工場建設に向けて業者とのやり取りなどで忙しく、死亡前の1カ月は残業が124時間に及んだ。勤務記録上は「残業ゼロ」にしていたが、スバル側は労災認定後に未払い残業代を認め、27年7月から1年5カ月間の約408万円の追加支給をしている。

 弁護士を通じて、男性の長男(13)は「さみしくて何も考えられない」、長女(11)は「私の心の傷は一生消えない」とのコメントを寄せた。スバルは「心よりお悔やみ申し上げたい。大変遺憾に思い、従業員の健康確保に一層の配慮をする」とコメントした。

 同社は24日、全社的に労働時間を調べた結果、約3400人に総額約7億7千万円の未払い残業代があったと明らかにした。

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