3月の就職活動解禁に向けて緊張感が漂ってきました。就職戦線の前哨戦とも称されるインターンシップは今年度も盛んに開催されています。1日型の短期プログラムの解禁で、実施企業は毎年増えています。学生が長期休みの夏季インターンだけでなく、秋や冬の開催も一般的になりつつあります。当社の就活モニター学生への調査では、この1月時点で9割近い学生が参加経験をもっています。
インターンシップは出て終わりではありません。1日や数日間のプログラムでは仕事理解も限られ、参加後も企業とのやり取りは続きます。インターンシップ参加経験がある学生に尋ねると、86%の学生が企業から何らかのアプローチを受けたと回答。この割合は年々上昇しています。
一体どんなアプローチを受けたのか、尋ねました。「インターンシップ参加者限定セミナーの案内」が最も多く、6割強に上ります。2番目に多かった「インターンシップ参加者限定インターンシップの案内」(54・5%)は前年同期調査より6・7ポイント増加しました。「早期選考の案内」「インターンシップ参加者限定懇親会の案内」もポイントを伸ばした一方で、「定期的なメールでのフォロー」は6・8ポイント減少の28・9%でした。間接的なアプローチは減少し、直接的な接触を図るケースが増加したことがわかります。継続的に接触機会を設けることで、参加者を囲い込んで採用につなげようという企業の思惑がうかがえます。
学生側もそれを承知しています。「インターンシップからそのまま選考に移ることが多いので、重要だと思う」(理系女子)、「インターンシップは、その企業の早期選考に参加できる要件となっている」(文系女子)などの声が挙がりました。
企業はどうでしょう。インターンシップの狙いを尋ねると、「インターンシップ開催後にどう関わるかが大事。選考開始までにいかに学生を成長させていくか。その中で業界や自社の生き方を知ってもらいたい」(証券会社)、「当社を理解し、ファンになってもらうことで、採用につなげたい」(IT企業)。単に採用試験の応募者集めだけでなく、ミスマッチ防止を念頭に置いた声が目立ちます。
「インターンシップに参加して、選考試験を有利に進めたい」(文系男子)という気持ちも分かりますが、せっかく社員と接する機会なので、企業理念や雰囲気などが自分に合うかどうかも意識していくと、企業選びに役立ってくるでしょう。(キャリタスリサーチ 武井房子)
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