産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が19、20両日に実施した合同世論調査で、厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題に関し歴代厚生労働相に対する何らかのペナルティーが「必要だと思う」との回答が59.6%に上った。野党は、安倍晋三政権を徹底的に追及する構えだが、問題は当時の民主党政権下でも行われていたため、身内の「処分」が重くのしかかってくる。
歴代厚労相へのペナルティーが必要だとする回答者を支持政党別で見ると、自民党53.3%、公明党57.5%、立憲民主党74.0%、共産党82.9%などとなり、与党より野党の支持層に高く出た。
今回の問題で雇用保険などの過少給付の対象は延べ2015万人に上った。追加支給に絡む費用は総額約795億円に膨張し、昨年末に閣議決定した平成31年度予算案を18日に決め直す異例の事態となった。政府は近く厚労省幹部を懲戒処分とする方針で早期の幕引きを図りたい考えだ。
国会内で21日に開かれた政府与党協議会で、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は「改善点を与党の皆さんから指摘いただきたい」と語った。自民党の二階俊博幹事長は記者会見で「党内外を引き締める意味でもペナルティーの必要はある」と述べ、厳しい姿勢で臨む考えを改めて示した。
一方、立憲民主党の辻元清美国対委員長は「問題の解明なくして31年度予算案の成立はない」と政府・与党を牽制(けんせい)する。ただ、不正が始まったとされる15年前からの歴代厚労相に旧民主党政権時代の4人も含まれ、長妻昭氏は立憲民主党の現職議員だ。
支持者から「ペナルティー」を求められる中、処分をなおざりにしたら「無責任だ」とのそしりは免れず、野党も難しい立場に立たされる。(大島悠亮)