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産経新聞社とFNNの合同世論調査で、日露平和条約締結交渉の最大の懸案である北方領土問題について「進展するとは思わない」との回答が72・9%に達し、厳しい反応が示された。昨年12月の前回調査では河野太郎、ラブロフ両外相を交渉責任者とする新たな枠組みでの交渉の進展に「期待する」と答えたのが65・0%に上っており、平和条約交渉の進展と領土問題の進展とで世論の期待度の違いが鮮明に出た。
今月14日の日露外相会談でラブロフ氏は北方領土に関し、第二次大戦の結果、ロシア領になったとの従来の立場を強調した。
一方、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は21日の記者会見で「領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉していきたい」と述べた。領土問題の「解決」について明確な方針が示されないことが、世論調査で領土問題の進展について厳しい回答が目立った要因とみられる。
世論調査ではまた、北方領土返還で目指すべき合意として、「四島一括返還」と、「歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の2島を先に返還、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)2島は引き続き協議」とする「2島先行返還」の2つを合わせると76%を超えた。「歯舞、色丹2島だけの返還」は10%程度にとどまり、四島の返還を望む世論がなお圧倒的に多いことがうかがえる。
安倍晋三首相は周囲に「実際に四島を持っているのはロシアであり、島を返すことになれば(歯舞、色丹の)2島でも大変だ。四島一括返還というなら、戦争で勝たない限り不可能だ」と語っており、現実認識に差が生じているといえる。(清宮真一)