牛の「おなら」と「げっぷ」を退治せよ--科学者たちの大真面目な温暖化対策

PHOTO: ESVETLEISHAYA/GETTY IMAGES
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 牛のおならとげっぷが、地球温暖化を加速させる--。突拍子もなく聞こえる説だが事実だ。牛1頭がげっぷやおならとして放出するメタンガスの量は、1日160~320リットルにも上る。農場経営者にメタンガス排出の削減を義務づける法案も登場するなか、研究者たちは牛たちの「減ガス化」を目指して、海藻飼料から遺伝学まであらゆる可能性を探り続けている。

TEXT BY GIAN VOLPICELLITRANLATION BY MITSUKO SAEKIWIRED(UK)

地球上には約15億頭の牛がいる。そのほとんどは肉牛や乳牛として繁殖させられたり、飼育されたりしている。

牛は4つの胃をもつ動物だが、最も大きい胃はルーメンとも呼ばれる第1胃だ。成牛の場合、その容量はおよそ150~200リットルにもなる。

第1胃には1g当たり250億個という膨大な数の微生物が存在し、植物性繊維を発酵分解している。発酵の際には副産物として水素が発生する。そして、第1胃に常在するメタン細菌と呼ばれる微生物群が、この水素をメタンに変換するのだ。

メタンはやがて、牛の正面玄関からはげっぷとして、裏口からはおならとして放出される。牛1頭がげっぷやおならとして発するメタンガスの量は、1日160~320リットルに上る。環境にとっては迷惑千万な話といえよう。

気候変動に関する議論となると、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に重点を置いたものがほとんどだ。それも確かに正しいのだが、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が明らかにした2015年の数値を見ると、メタンも世界の温室効果ガス排出量の16パーセントを占めている。近年の研究でも、メタンにはCO2の28倍もの温室効果があることがわかってきた。

特殊な餌が、牛の体内メタンを減らす

メタン排出の3分の2は、採鉱業やさまざまな産業プロセスなど、わたしたち人間の活動が原因となっている。なかでも深刻なのが畜産業、特に牛の飼育によるものだ。膨大な数の牛たちが、食品産業の世界に敷かれたレールの上を進む途中で、おならとげっぷを放出し続けているのだから、肉や乳製品の消費を徹底的に減らせば問題解決につながることは明らかだ。

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