14日、モスクワで河野太郎外相とロシアのラブロフ外相が会談した。昨年12月1日のブエノスアイレス日露首脳会談で、安倍晋三首相とプーチン露大統領が、河野氏とラブロフ氏を平和条約交渉の責任者に指名してから初めて行われた外相会談だ。
外交に関しては、マスメディアでの報道と外交専門家の間で見解が異なることが時々ある。特に北方領土交渉に関しては、ロシア外交の微妙なニュアンス、ロシア人の思考様式を読み取ることができなくては、正しい分析ができない。
今回の外相会談で22日に予定されている日露首脳会談の環境整備を成功裏に終えることができた。安倍外交にとって大きなプラスだ。
外交は人である。河野氏はラブロフ氏に日本のウイスキー「響」をプレゼントした。外交の世界でプレゼントには重要な意味がある。ウイスキーが好きであるということを含め、日本がラブロフ氏の人物研究を徹底的に行っていることを示唆するものだからだ。日露外相会談では、互いの見解に相違はあるが、北方領土問題を解決する方向に向け、双方が努力するという誠実な姿勢が示されたことに大きな意義がある。
日露のマスメディアの報道は、会談後、ラブロフ氏が行った会見を主な情報源に構成されている。発言要旨について15日の産経ニュースはこう報じた。
〈平和条約締結に向けては、ロシアと日本には本質的な隔たりが残っている。しかし、両国関係を正常化するという両国首脳の意思が私たちの議論を活性化させる。河野太郎外相に『第二次大戦の結果、南クリール諸島はロシア領になったことを日本が認めない限り、領土交渉の進展は期待できない』と再度、伝えた。反論は聞いていない。河野氏に『北方領土という呼称はロシアには受け入れがたい。日本の国内法に北方領土という呼称が規定されている問題をどう解決していく考えがあるか』と伝えた。島の主権をめぐる問題については議論されなかった。日本が米国に対してどの程度自立することができるのか尋ねた。河野氏は『日露平和条約交渉は、他国の願望ではなく、日露両国の利益に基づいて進められる』と述べた〉