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羅針盤 人生100年時代、高齢社会に貢献

 □青山学院大学・三木義一学長

 青山学院大学が、高齢社会のあり方を文理融合で多角的に研究する「ジェロントロジー研究所」を設立したり、地域コミュニティー構築に役立つ人材育成を目指す「コミュニティ人間科学部」を創設したりと、日本社会が直面する課題解決に貢献する取り組みを矢継ぎ早に打ち出している。英語教育、国際派、箱根駅伝などの定評を積み重ねてきた青学が、次に目指す人材育成とは何か、どのような研究成果を社会に還元しようとしているのか。三木義一学長に聞いた。(聞き手・山本雅人)

 --国際的な取り組みに定評があるが、国内の課題解決の取り組みも相次いで打ち出している

 「人生100年といわれるようになった。定年後の健康的な生き方や社会との関わりなどについて、大学が示すべきではないかと考え、昨年秋、高齢者を社会資産ととらえた『ジェロントロジー研究所』などを創設した。ジェロントロジーは高齢者に関する幅広い領域を扱う学問で米国で研究が進んでいる。日本でも多くの大学、研究機関で取り組みが始まっているが、美容、福祉などで実績を持つ山野学苑が先駆的に研究しており、連携していく」

 --ジェロントロジーの重要性を感じた経験は

 「前庭神経炎の症状が出て救急搬送されたことがある。大事には至らなかったが、健康と年齢の関係を実感し、高齢社会に対して大学が果たす役割を意識するようになった」

 --どう研究するのか

 「化学、生命科学、医学、法学、経済学など文理融合で取り組む。文系のイメージが強いといわれるが、実は理系の研究水準は日本の私学では屈指だと自負している。例えば環境電磁工学を専門とする橋本修副学長は、高速道路の自動料金収受システム(ETC)になくてはならない研究を行ってきた。実績を持つ理系研究と、伝統的に強い文系研究を融合させ、社会に貢献できる成果を生み出したい」

 --新学部も国内の課題解決と密接に関わりがある

 「4月に相模原キャンパス(神奈川県相模原市)にコミュニティ人間科学部を創設する。人口減少の中、国内の地方創生、地域おこしは日本社会の重要課題で、その解決に役立つ人材育成を目指す。学問に加え人格を兼ね備えることも大切でキリスト教信仰に基づいた本学のモットー『地の塩、世の光』に根ざした教育を行う」

 --高校生や受験生に伝えたいことは

 「本学の理系水準の高さを知ってほしい。理系の相模原キャンパスも美しく、施設が充実しており男女を問わず目指してほしい」

 --学生に対してのメッセージは

 「私は税法という法律学では主流ではない分野を歩んできた。研究者は少ないが重要な学問だと信じ、ひたむきに取り組んできた。自分の関心に正直に、突き進んでいってほしい」

【プロフィル】三木義一

 みき・よしかず 1950(昭和25)年生まれ、東京都出身。弁護士。中央大学法学部卒。一橋大大学院修士課程修了。静岡大学教授、立命館大学教授を歴任。独ミュンスター財政裁判所客員裁判官、政府税制調査会納税環境整備小委員会座長などを経て、2010(平成22)年に青山学院大学法学部教授、15(同27)年から現職。

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