芥川賞「受賞2作はほぼ同点」 奥泉光選考委員が講評

「町屋作品について。ボクシングをする若者のいわば青春小説です。とにかく評価されたのは、この小説における徹底性です。徹底してボクシングをする若者の日常、トレーニングを徹底して書き込んでいく。その筆の迫力が一番評価されたと思います。現実のボクシングがどうであるかを選考委員は知らないわけですが、減量や戦いに臨む心の動きをリアルに思わせる。仮にこれが虚構で、実際のボクサーが読んでこれはウソだと言っても、私はこの作家にだまされてもいいと思わせるだけの言葉の力がこの作品にはあったと思います。もう一つ、選考では非常にやさしい主人公であるとも評されました。ボクシングは極論すれば殴り合いなのですが、スポーツとして徹底的な相手に対する思いやりを描き、今の時代のボクサーの姿を描いた点も新しさを感じさせる、という意見もありました」

--受賞2作の点数は

「ほぼ同じでした。初回の投票では2作ともに5.5点(評価は○△×方式で、○が1点、△が0.5点になる)でした。3作で行った最終投票では『ニムロッド』が6.0点、『1R~』が6.5点になりました。9人の選考ですので、過半数の5点が一つのラインです。高山さんは最初の段階で4.5点で、議論した後の最終投票では少し点を下げました」

--落ちた3作について