芥川賞「受賞2作はほぼ同点」 奥泉光選考委員が講評

第160回芥川賞が16日発表され、上田岳弘(たかひろ)さん(39)の「ニムロッド」(群像12月号)と町屋良平さん(35)の「1R(ラウンド)1分34秒」(新潮11月号)の2作に決まった。選考会後、選考委員の奥泉光さんが会見に臨み、選考経過について説明した。概要は次の通り。

「最初に9人の委員による投票が行われ、議論を進めていきました。最初の投票で受賞2作と高山羽根子さん(43)の『居た場所』(文芸冬号)が相対的に高い点数を集めました。(全6作のうち)残り3作は高い点数を集めることができませんでした。その後、点数が低い3作から議論して残りの3作へと進み、最終投票で2作受賞が決定しました」

「上田作品は完成度が高い。ビットコインに関わる会社員を主人公に据えながら、その恋人や友人との関係といった現代的、日常的なところから話をスタートさせて、小説中小説として人類の営みの終わりという非常に大きなものを導入させてくる。『大変な跳躍力』と評した選考委員もいました。大きな世界観と日常的なできごとをつなげる手際のよさが受賞につながった。私見では、人類が積み重ねてきた営為がもう終わってしまうかもしれないことへの愛惜がにじむ作品だと感じました」