浪速風

脳死に反対、移植は認める。少数意見貫いた梅原猛さん

平成2年に設置された脳死臨調は白熱の議論が戦わされた。「西欧諸国では脳死を死と認め、臓器移植を行っている。どうして日本ではできないのか」。こうした多数派に抗して、梅原猛さんは反対を貫いた。「臓器移植をやりやすくするために、死の観念を変えようとしているにすぎない」

▶哲学者の批判は鋭かった。委員を引き受けたのは「哲学の本来の目的は生と死を明らかにすること」だからである。著書「隠された十字架-法隆寺論」「水底(みなそこ)の歌」も人間の死についての省察という。それ以前に京大の医の倫理委員会に加わり、いずれ脳死と臓器移植が諮問されるだろうと、関心を持ち続けてきた。

▶といっても、臓器移植に反対ではなかった。「脳死になったら自分の臓器をさし上げたい人がいる。それをもらえば生命をつなぐ人がいる。それに反対する非情さを私はもっていません」。梅原さんの少数意見があってこそ、脳死臨調は実りあるものになった。