英議会、EU離脱法案を日本時間16日午前に採決 承認は困難な情勢

 【ロンドン=岡部伸】英下院は15日夜(日本時間16日午前)から、メイ首相が欧州連合(EU)と合意した離脱協定案を採決する。野党に加えて与党内での反発も根強い離脱案は否決される見通しで、協定発効に不可欠な議会承認を得るのは困難な情勢だ。英国によるEU離脱は一段と不透明感を増し、世界経済に混乱をもたらす「合意なき離脱」に突き進む懸念が高まっている。

 下院(定数650)で、可決に必要な賛成票は議長などを除く318票だが、317議席の与党・保守党内で100人近くが離脱案に反対。野党・労働党などの議員の大半も反対票を投じる構えで、否決は「確実」(英紙)とされる。

 否決された場合、メイ政権は21日までに代替案を提出し、下院で再び採決にかけることが議会から求められている。メイ政権は、離脱日の延期や離脱の是非を問う国民投票の再実施などを検討するとみられるが、代替案も否決される事態となれば、合意なき離脱の恐れは一層高まる。

 離脱案で反対派が問題視しているのは、アイルランドの国境管理問題が解決されるまで、英国がEU関税同盟に残留するという協定案の条項(安全策)だ。安全策に対し強硬派議員は、英国が将来もEU規則に従い続ける余地を残すと批判してきた。 

 メイ氏は昨年12月に予定していた下院の採決を延期。安全策に反対する強硬派議員の不満を和らげるため、協議の場を設けて理解を求めてきたが、強硬派議員の歩み寄りはみられなかった。メイ氏は14日の演説でも「われわれには(2016年の)国民投票の結果を実現する義務がある」と述べ、離脱案への支持を訴えた。

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