【北京=西見由章】北京で3日間開かれた米中次官級貿易協議の終了を受けて、中国外務省の陸慷報道官は9日、「もし良い結果であれば中米双方に有利であるだけでなく、世界経済にとっても良いニュースだ」と述べ、交渉の進展に自信をみせた。ただ今後は中国による知的財産権の保護や構造改革など双方の隔たりが大きい分野で詰めの交渉が控えており、対立解消に向けて米中が歩み寄れるかは依然予断を許さない状況だ。
今回の次官級協議は昨年12月に行われた米中首脳会談の合意実行に向けて具体策を議論。米国からはゲリッシュ米通商代表部(USTR)次席代表、中国側は王受文商務次官らが出席した。ロイター通信によると、米交渉団のミッキニー農務省貿易担当次官は協議について「うまくいったと思う。米国にとってよい内容となっている」と記者団に語った。
トランプ米大統領は交渉期限の今年3月初めまでに協議がまとまらなければ、年2千億ドル(約21兆7千億円)相当の中国産品に対する追加関税の税率を10%から25%に引き上げる構えだ。貿易摩擦の影響で国内景気が減速している中国としては輸入拡大措置などで大幅な譲歩を覚悟する一方、トランプ氏が自国のハイテク産業政策を問題視していることに対しては「発展は自国の権利」などと反発している。
中国政府系英字紙チャイナ・デーリーは9日付の社説で「中国は貿易摩擦の解決にあたって不合理な譲歩はしない。合意は双方が譲り合わなければならない」と主張した。