このことからも、私に金融商品取引法に違反する意図がなかったことをわかっていただけると思います。このことを理解していただくためのテストとして、「死亡テスト」と言われているものがよいと思います。つまり、私が今日死んだとしたら、私の相続人が日産に対して、私の退職慰労金以外の金員の支払いを求めることができるかということです。答えは明白に「いいえ」であるからです。
4、日産への貢献
私は人生の20年間を日産の復活とアライアンスの構築にささげてきました。私は、この目標のために、日夜を問わず、地上でも機上でも、世界中で懸命に働く日産の従業員と肩を並べて、価値を創り出すことに取り組んできました。
私たちの努力は目覚ましい成果を上げてきました。私たちは日産を変革しました。平成11年に2兆円の負債を抱えていたところから、18年末には1・8兆円の現預金を有するまでに至りました。11年に250万台の販売にとどまり多大な損失を計上していたところから、28年には580万台を販売して利益を上げるに至りました。この間に、日産の資産規模は3倍になりました。
日産の象徴である「フェアレディZ」や「GT-R」を復活させました。中国の武漢、ロシアのサンクトペテルブルク、インドのチェンナイ、ブラジルのレゼンデにも進出しました。そして「リーフ」で電気自動車の市場を大きく開拓し、また自動運転車開発をスタートさせ、三菱自動車をアライアンスへ招き入れました、このアライアンスは、29年には世界第1位の自動車グループとなり、年間1千万台以上を生産しています。私たちは直接または間接に、日本で無数の雇用を創出し、日産を日本経済の主軸へと回復させたのです。
これらの成果は、世界に比類ない日産従業員のチームによって得られたものであり、私にとっては、家族の次に、最も大きな人生の喜びです。