米中協議、合意順守の仕組みも焦点 約束破りに罰則も

 【ワシントン=塩原永久】8日に2日目の協議が行われた米中間の貿易問題をめぐる次官級協議は、米政府内で「双方が受け入れ可能な合意に達する機会」(ロス商務長官)につながるとみられている。ただし中国が過去に示した合意内容をほごにしてきたとの不信感も強い。知的財産権の保護強化などの課題で合意できたとしても、いかに中国側に順守させる仕組みをつくるかが課題になるとも懸念されている。

 今回訪中した米国の交渉団には、米通商代表部(USTR)のゲリッシュ次席代表を筆頭に、財務省や農務省など多数の省庁担当者が参加した。幅広い問題を協議するための大型訪中団との位置づけだ。

 ロス氏は7日の米CNBCテレビで、米中が「(米国が求める)すべての重要課題を扱った妥当な合意」に至る可能性があると説明。すでに中国が米側に提示したとされる米国産の大豆や液化天然ガス(LNG)などの大規模購入案では、比較的容易に合意できるとの見方を示していた。

 ただし中国が政府補助金を投じて進めるハイテク産業振興策や、外国企業への技術移転の強要などをめぐる「構造改革」での話し合いは簡単な課題ではない。ロス氏も中国側が示している対応策に関して、「(合意の)履行確保がもっとも困難だ」としている。

 米国側が中国による合意順守を楽観していないのは、オバマ前政権時代などに、中国がサイバー攻撃の停止などで合意したにもかかわらず、約束を繰り返し破ったとみているからだ。

 米政府内では、合意破りに適用する「罰則」の仕組みを、3月1日までの協議期限内にまとめる正式合意に盛り込むべきとの意見があるもよう。今後も米政府は対中制裁の強化を猶予する「アメ」を差し出す一方、中国に罰則を加える「ムチ」もちらつかせながら、協議を優位に推し進める考えとみられる。

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