「吉野游水えび」を屋内養殖 奈良・下市の新たな特産品に

 吉野郡の北西に位置し、面積の8割近くを山林が占める下市町で、地元住民が東南アジアなどから輸入されているバナメイエビの屋内養殖に取り組んでいる。回転寿司用に加工されているほか、揚げ物や炒め物にも向くバナメイエビ。関係者は「吉野游水(ゆうすい)えび」と名づけ、今月中にも本格出荷を始める。

 養殖に取り組んでいるのは、同町在住で生鮮食品の卸販売を手がける山本純司さん(48)。バナメイエビは、東太平洋のメキシコ沖からペルー沖にかけて分布するクルマエビの仲間で、成長が早く病気にも強いという。

 知人が岐阜県で養殖をしており、「エビを安定的に流通させたい。自分でもやってみよう」と一念発起。約3年前に倉庫を借り、試験的に養殖を始めた。

 昨年3月には、下市町善城に屋内養殖場を建設。ヒーターで水温を26~27度に設定した水槽(縦18メートル、横5メートル)で、タイから輸入した約40万匹の稚エビを養殖している。知人の協力を得て、餌やりや水槽の清掃などの作業を分担。周辺の環境を汚さないよう、水槽の水を濾過(ろか)して再利用している。

 「吉野游水えび」は泥臭さがなく、町内で同11月に開いた試食会でも好評を博したといい、山本さんは「目標の出荷量は月5トン。下市の新たな特産品に育て、近隣のスーパーなどに卸せたらうれしい」と意気込んでいる。

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