話の肖像画

元最高裁判事・園部逸夫(89)(1)オープンな議論望みたい

元最高裁判事・園部逸夫氏(佐藤徳昭撮影)
元最高裁判事・園部逸夫氏(佐藤徳昭撮影)

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〈間もなく平成が終わり、新たな時代が始まる。その節目に、ぜひこの人の「真意」を聞いておきたいと思った。平成17年、女性・女系天皇を容認するなどの報告書をまとめ、大論争を巻き起こした、小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」の座長代理を務めた人に、である〉

私は、天皇制を、国家と国民の象徴たる「象徴天皇制」という形で、今後とも大切に維持すべきだと考える者の一人です。

日本の皇室の伝統は「国民とともにある」。国民は皇室を敬愛し、ありがたいと感じ、天皇陛下は国民の幸福と安寧を願われる。天皇陛下が行動でお示しになることで、国民はつながっていると感じられる。天皇制は、わが国独自の存在、国家の仕組みであるという点において、日本が日本であるという同一性を国民が認識し、理解するのにふさわしい制度である、と思います。

終戦後、GHQ(連合国軍総司令部)によって天皇制が廃止されてもおかしくない状況でした。廃止されていたら日本の民主主義はどうなっていたでしょうか。大統領制や共和制など、別の政体を選んだ国もありますが、日本には日本の国民性がある。一番上に掲げて座られる方は、天皇陛下なんだ、という意識で日本の国民は、自然にまとまっています。

例えば、国民が簡単に政変を起こさないのは、天皇制という重しがあるからでしょう。

〈今回の天皇陛下の譲位では賛成意見を述べた。ただし、制度化には従来、反対している〉

制度化されれば、ご本人の意思とは別に「そろそろ…」とか、さまざまな政治的介入が行われる可能性が高いし、要件をめぐっても意見が分かれるでしょう。だが今回は、天皇陛下がその意思を示された。国民感情もあるし、皇室内にも、政府にも、特に意見を言うことがなかったのだから、それでいいじゃないか、と私は考えたわけです。