ネットフリックス「ROMA/ローマ」 配信業者初の「金獅子賞」 ベネチア国際映画祭

アルフォンソ・キュアロン監督が少年時代の思い出を忠実に描いた
アルフォンソ・キュアロン監督が少年時代の思い出を忠実に描いた

昨年9月、ベネチア国際映画祭で最高賞「金獅子賞」を受賞した「ROMA/ローマ」が、米動画配信大手「ネットフリックス」で独占配信中だ。

同作は、「ゼロ・グラビティ」(2013年)などで知られるメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン(57)が監督・脚本を担当した自伝的映画で、世界中で吹き荒れる移民問題や人種問題を念頭に、寛容と融和の精神を訴えたヒューマンドラマ。ネットフリックスが製作したオリジナル作品で、動画配信事業者製作の作品が世界三大映画祭の頂点に立つのは初めてであり、大いに話題となった。

舞台は、政治的混乱でデモが絶えない1970年代前半のメキシコ市のローマ地区。主人公のクレオ(ヤリッツァ・アパリシオ)は、4人の子供を持つ白人の中流家庭で働く住み込みの若い家政婦だ。初めは冷淡に扱われていた彼女が、人種や貧富の差を超え、次第に一家ときずなを強めていく姿が、モノクロの映像と静謐(せいひつ)な語り口で描かれている。

炊事、洗濯、掃除、子守、飼い犬の世話…と昼夜多忙な日々を送るクレオは休日に恋人のフェルミンと映画館でデートを楽しむ。ある日、妊娠に気づきフェルミンに告げると、彼は突然姿を消してしまう。一方で、住み込み先の一家では主人の浮気が発覚。苦しむ妻とクレオは次第に結束を強めていく。

クレオのモデルは、キュアロン監督が少年時代にメキシコの実家で働いていた家政婦。彼女がかわいがる少年の1人はキュアロン監督の分身だといい、作品からは仕事の拠点を米国へ移した彼の郷愁の念がにじみ出ている。海水浴で溺れかかった子供たちに対し、泳げないクレオが危険を顧みず海岸から助けに向かう場面は迫力満点。クレオの息づかいがじかに伝わってくるようだった。

米アカデミー賞の前哨戦とされるゴールデングローブ賞(7日、日本時間)では、監督賞、脚本賞、外国語映画賞で候補に名を連ねた。賞レースの行方も注目されている。(高橋天地)

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