ライスボウル惨敗も…アメフット関学大ファイターズに心からの拍手を

 アメリカンフットボールの日本選手権「第72回ライスボウル」が3日、東京ドームで行われ、学生王者の関学大は17-52で社会人王者の富士通に敗れた。関学大は第4クオーター(Q)残り45秒で主将のQB光藤が右サイドへ4ヤードを走り、TDを奪い返した。「学生の、ファイターズの意地を見せたかった」。激動のシーズンを駆け抜けたチームでQB兼主将という重責を担った男が、最後に一矢報いた。

 関学大は第1Qの立ち上がりの守備で、LB海崎悠の出足鋭いタックルなどで富士通の攻撃を見事に封じた。だが富士通が4度目の攻撃シリーズでRBニクソンが6回走って先制TDを奪うと、流れは一変。直後の守備でインターセプトリターンTDを決め、さらに点差を広げていった。

 1Qは大学の試合より3分長い15分。その分、外国人選手らと当たり続けた関学大の選手はQB奥野やWR小田ら計6人が負傷退場した。試合が一方的展開となり、第4Qには席を立つ観客が目立ったが、光藤は仲間がこじ開けたスペースを信じて走り、チーム2本目のTDを決めたのだ。

 関学大は今季、激動に見舞われた。昨年5月、QB奥野が日大との交流戦で悪質タックルを受け、社会問題化した。光藤に初めて取材したのは交流戦の3日後だ。「僕たちはルールを守って、チーム全員の力で社会人を倒して日本一になります」。力強い言葉に強い意思を感じた。だが、当時の鳥内監督の光藤評は「何を考えてるのか、まだよくわからん」だった。

 QBとしては奥野、西野に次ぐ3番手の立場でも、いつ出番が来てもいいように「プレーの理解度を深めていた」。その努力は西日本代表決定戦の立命大戦で花開いた。要所でTDパスを決め、甲子園ボウルに進んで早大に勝った。ライスボウルでは富士通に太刀打ちできなかったものの、大学4年間で得たものがある。それは「かけがえのない仲間」だという。主将をやってよかったかと問われると「はい」と即答し、前をみつめた。

 ライスボウルは2009年に立命大が勝って以降、学生が10連敗中だ。鳥内監督は社会人との体格差からけがのリスクが大きいとし、「戦術、戦略の問題ではない。フットボールの面白さを発揮できないまま終わる。このままではファンが減る」と疑問を呈した。富士通だけでなく、社会人チームの多くが強化のため外国人を起用している。学生の選手生命に関わる事故が起きてからでは遅い。現行の方式は見直されるべき時期に差しかかっている。

 しかし、関学大が勇気を持って富士通に挑んだ事実が色あせることはない。困難を乗り越え、最後まで戦い抜いたファイターズに心から拍手を送りたい。(岡野祐己)

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