データで振り返る平成経済 借金膨張 国債発行残高5.6倍

 平成は、国の借金が膨れ上がった。31年度末の国債の発行残高は897兆円となる見込みで、元年度末の161兆円の約5.6倍に拡大。公共事業や社会保障関連の支出が、税収では補いきれない規模まで膨張したことが大きい。

 国債は国が投資家から借金するため発行する債券。大きく2種類あり、公共事業を賄う建設国債と、支出のうち税収で賄えない部分(財政赤字)を補う赤字国債がある。国債残高の内訳をみると、大きく増えたのは赤字国債だ。元年度末は赤字国債64兆円、建設国債97兆円。31年度末には赤字国債が614兆円と9.6倍に、建設国債は277兆円と約2.9倍になる見通しだ。

 財務省は「1990年代は景気対策のための公共事業の支出が多く、以後は高齢化で社会保障の支出が伸び、税収を大きく上回っている」と指摘する。

 実際、支出をみると、元年度の決算は一般会計総額が65兆9千億円。このうち社会保障関係費は12兆4千億円で約19%、公共事業関係費は7兆4千億円で約11%を占めた。

 一方、31年度予算案は一般会計総額が101兆5千億円と初めて100兆円を突破。社会保障関係費が約34兆円で約33%に達したが、公共事業関係費は6兆1千億円まで減り、比率も約6%に低下している。

 国債は将来世代への借金つけ回しにつながる。今後は高齢者の医療費負担の増加など、痛みの伴う改革の議論を避けて通れない。

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