平成最後であり、新しい時代の始まり。そんな特別な1年に活躍が期待される2人がいる。関西を本拠に歌舞伎から映画まで幅広く活躍する歌舞伎俳優、片岡愛之助さん(46)と、今夏に行われる世界選手権で2連覇の期待がかかる柔道女子52キロ級のエース、阿部詩選手(18)。伝統芸能の担い手と、日本のお家芸の期待の星。注目を集める2人が初顔合わせ、この1年にかける思いを語った。3回にシリーズの1回目。(司会 特別記者・亀岡典子)
愛之助 昨年は柔道世界選手権で金メダル、それもお兄さん(男子66キロ級の阿部一二三(ひふみ)選手)と兄妹で同時というのは日本勢初。そしてグランドスラム大阪大会でも優勝。おめでとうございます。
阿部 ありがとうございます。
愛之助 今日初めて詩ちゃんにお会いしてびっくり。柔道の世界チャンピオンだから筋肉がすごくて、もっと大きな体の方かなあと思っていたら、きゃしゃでかわいらしくて。
阿部 私も、愛之助さんをテレビでよく見ていました。
愛之助 実際どう?
阿部 一緒です(笑)。
-愛之助さんが誘致アンバサダーを務められた、2025年国際博覧会(万博)も、昨年末、大阪開催が決まりました
愛之助 うれしかったですね。僕自身、大阪・堺の出身で今も住んでいます。憧れの万博が地元に来るわけですからね。今はなんでも東京ですが、大阪が盛り上がり、大阪から発信したいとずっと思っていました。だからすごくうれしくて。そういえば、詩ちゃんも関西の出身ですよね。
阿部 神戸です。
愛之助 関西にいる利点を感じることはありますか
阿部 (少し考えて)気が強くなりました。
愛之助 勝ち気なんですね。トップを走り続けるというのは大変だと思う。トップに立った後は自分との戦い。僕も稽古ではできても本番になると緊張して、力が60%も出せないことがあるけれど、そういうこと、詩ちゃんもありませんか。
阿部 練習でできたことでも、相手がいると恐怖感があり、普段こういう動きができるのに本番ではできない、ということはあります。ただ、試合のときは「負ける気がしない」というぐらいの気持ちでやっています。練習の時は自分が一番強いとは思わないけど、試合では自分が一番強いと思って。