ハチドリ、一瞬の求愛行動 米研究チームが発見

求愛飛行するフトオハチドリの雄(ノア・ホワイトマン氏撮影、ネイチャー誌提供)
求愛飛行するフトオハチドリの雄(ノア・ホワイトマン氏撮影、ネイチャー誌提供)

 ハチドリの一種、フトオハチドリの雄の求愛行動は雌に接近する際の一瞬だけ完成することが、米プリンストン大などの研究で分かった。人間の瞬きとほぼ同じ時間に、雌にアピールするための羽の音や色の見え方などの変化が起きていた。成果は英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に掲載された。

 フトオハチドリは、体長8センチほどで米国から中米にかけて生息。雄は求愛の際、30メートルほど垂直に急上昇してから雌に向かって時速約80キロで素早く降下し、また急上昇するU字曲線の飛行を何度も行う。

 急降下時には尾を使って機械的な羽音を出し、さらに喉にある虹色の斑点を誇示するが、これらの要素が出そろうタイミングは分かっていなかった。

 研究チームは野生の雄の急降下を48回分、映像と音声で記録。特殊な映像解析技術を使って、急降下中の雄が雌にどう見えるか調べた。

 解析の結果、雄の水平飛行速度は雌に最接近する直前に最高に達し、時速約83キロを記録した。喉の斑点の色は赤から黒に変化して見えていることが判明。羽音もドップラー効果によって大きく変化して聞こえることが分かった。これらの現象は、わずか0・3秒以内に完結していた。

 研究チームは、雌はこうした求愛行動から、雄の能力などを判断している可能性があると指摘。今回分かった瞬間的なクライマックスが雌にとってどのような意味を持つのか、さらに研究が必要としている。

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