野村萬斎 東京2020へ 4つの祭典を4話の物語に - 産経ニュース

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野村萬斎 東京2020へ 4つの祭典を4話の物語に

狂言師の野村萬斎さん=東京都文京区(鴨川一也撮影)
狂言師の野村萬斎さん=東京都文京区(鴨川一也撮影)

 三間(約6メートル)四方の能舞台から、東京・新国立競技場で1年半後に迫った、東京五輪・パラリンピック開閉会式の演出を考える。

 「復興五輪である以上、『鎮魂と再生』の精神性を大事にしたい。それは祖先に感謝し、次なる生を伝承する日本の祭りの心であり、能狂言の心でもある」

 伝統芸能を軸に持ちながら、英国留学でそれを客観視する目線を得た。シェークスピア劇を和の手法で斬新に演出し、国内外で高く評価されている。一方、「三番叟(さんばそう)」(能の祝言曲の一つ)を、自身の動きをデジタルデータ化した映像と競演するなど最先端技術にも貪欲だ。「パレットの絵の具は多彩な方がいい。そこから引き算する。そぎ落とした表現で最大限の効果を上げるのはわれわれ(能狂言)の専売特許です」

 五輪とパラの開閉会式、計4式典を、4話完結の物語として構想中だ。通底するのは、狂言の舞台で慣用句のように使われる「このあたりのものでござる」の精神。大名も太郎冠者も、どこにでもいる人間として登場する。

 「大統領も首相も、障害者も健常者も、人種や言語が違っても、世界中が『このあたりのもの』として集まる。どの人間も包括し、肯定する狂言の心は世界平和に繋がるはず」

 大舞台を控えた今年は「準備の年」。決断の場面が増えるが、その物差しも到達点も狂言の中にある。

 「五輪後、みなが『このあたりのもの』と胸を張って言える契機になる祭典を、日出る国から目指す一年にしたい」。背筋を伸ばし、新年を語った。(飯塚友子)