新時代

AI・宇宙・核融合、技術覇権を狙う超大国…中国 予算潤沢、国家ぐるみ

 中国の核融合研究が本格化したのは2000年以降だった。欧米よりも20年以上も遅れてスタートしたが、経済成長を支えるためにエネルギーを得たいという強い動機から、近年は徐々に力をいれ、今の研究体制は他の国を圧倒しているといわれる。「世界で最も早い商用化の実現」が中国人研究者たちの目標だという。

 日本の自然科学研究機構核融合科学研究所(岐阜県土岐市)は17年8月、プラズマのイオン温度を1億2千万度まで上げることに成功している。「日本は全然負けてない」と話す同機構の長壁(おさかべ)正樹教授だが、後方から近づく中国の足音も如実に感じている。「今は技術の蓄積という貯金で頑張っているが、追い越される日がくるだろう」

 日本は欧州連合(EU)などとエネルギーの発生実験を行う国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」の建設も進める。だが、科学技術分野の予算が限られる日本では、アイデアがあっても新たな装置などの展開が図りにくい。長壁教授は「中国の研究者は私たちより1桁上の予算を持っている」と話す。

 核融合に限らず、中国は、人工知能(AI)、立体造形機器の3Dプリンター、宇宙開発など多くの分野で、世界に追いつこう、追い越そうとしている。これまで先頭を走る欧米や日本が時間をかけて蓄積したデータや研究成果を導入しながら、国を挙げて実験を重ね、商用化も積極的に試みる。政府の要請にほぼ無条件に協力する企業と、国内の巨大なマーケットが強みになっている。

 中国政府が近年、とくに力を入れているのは、火薬、核兵器に次ぐ「第3の革命」といわれるAI技術だ。17年に「次世代AI発展計画」を発表した。自動運転、スマートシティ、医療、音声認識の4つの分野を重点に指定し、政府が支援する企業名まで明記し、官民協力体制で30年に「AI分野で世界のリーダーになる」ことを目標に掲げた。

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