2019年の日本経済は米中貿易摩擦など世界経済の波乱要因に振り回されることになりそうだ。今年は16年半ばから続く世界経済の堅実な成長の転換点となる可能性がある。日本にも影響が及べば、10月に予定される消費税増税の実現も危ぶまれるとの指摘も出てきた。一方、世界経済をめぐっては、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)の普及という追い風も吹いている。日本でも「つながる家電」などの新たな市場の創出が進んでおり、電機各社は従来の家電を売るだけのビジネスからの脱却を図っている。(田辺裕晶、飯田耕司)
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「16年秋の米大統領選挙のころから始まった世界経済の堅実な拡大が曲がり角を迎える恐れがある」
ある国際金融筋は19年の世界経済の先行きをこう見据える。米国や中国などが引っ張ってきた世界経済を失速させかねない出来事が数多く控えているからだ。
世界経済にとって最初の関門は3月。昨年から継続中の米中の貿易協議が不調に終われば、米国の対中追加関税が2日に10%から25%に引き上げられる。大和総研によると、発動された場合の実質国内総生産(GDP)への下押し効果は、米国で0.28%、中国で0.22%に達するという。