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先の大戦で激戦地となった硫黄島(いおうとう、東京都小笠原村)で、政府が来年4月から新型の高性能レーダーを使った遺骨探索調査に着手することが30日、分かった。硫黄島では遺骨収集が難航しており、戦没者約2万1900人のうち、今も1万柱を超える遺骨が眠ったまま。島内に敷設された滑走路の地下に遺骨が多く埋まっているとみられ、新型レーダーを使って本格的に調査する方針だ。
政府関係者によると、これまでは地下10メートル程度しか探索できないレーダーを使用していたが、防衛省が15メートル以上探索できる新型レーダーを開発、完成させた。1月からテストを始め、4月から現地に投入する。レーダーで遺骨があるとみられる地下壕(ごう)が確認されれば、ボーリングでさらに調査する。
硫黄島では、日本軍が多くの地下壕を築いて戦いを展開。面積22平方キロの島内に総延長18キロもの地下壕を構築して米軍を迎え撃った。米軍による砲撃で多くの壕は埋没している。
平成22年度に当時の民主党政権が硫黄島での「事業強化」を表明し、収集数は一時伸びた。28年に遺骨収集を「国の責務」と記した戦没者遺骨収集推進法が成立したものの、近年の収集数は年数十柱程度にとどまっている。硫黄島の戦いで指揮を執った栗林忠道(ただみち)陸軍中将や、ロサンゼルス五輪馬術金メダリストの「バロン西」こと西竹一中佐の遺骨も見つかっていないとされる。
遺骨収集が難航している理由の一つに、島に敷設された自衛隊機発着用の滑走路(昭和43年運用開始)の地下探索・調査が進んでいなかったことがある。