貿易戦争の「一時休戦」を決めた米中首脳会談からまもなく1カ月がたつが、その間に中国による譲歩の動きが目立つ。外国企業に対する技術移転の強要禁止の法整備や、米国車に課す追加関税の一時停止、米農産品の大規模購入再開が表面化。米国との全面衝突回避のためとみられるが、中国は国内を意識してか「変えるべきでないものは断固として変えない」(外務省)と強気の姿勢を崩しておらず、来年1月に予定される米中貿易協議の見通しは依然不透明だ。
中国政府は23日、「外商投資法」の草案を全国人民代表大会(全人代)常務委員会に提出した。この中で、外国企業に対する技術移転の強要禁止を規定。トランプ米政権は知的財産権保護の徹底を中国側に強く求めており、これに応えた措置とみられている。
ブエノスアイレスでの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた1日の米中首脳会談後、中国政府は米国への歩み寄りの姿勢を強めている。
今月上旬には知的財産権侵害に対する懲戒強化策を発表。中旬には中国による米国産大豆の大量購入の再開が判明し、米国からの輸入車に課す25%の報復関税を来年1月から3カ月間停止することも決まった。また、トランプ政権が警戒するハイテク産業育成策「中国製造2025」の見直しを中国政府が検討していると米紙が報じている。