年の瀬記者ノート

銚子市の財政危機 問われる政治責任と具体策

 25日夜。世間がクリスマスムードに包まれる中、その会場には、えもいわれぬ緊張感が漂っていた。

 銚子市が財政危機を乗り切るため打ち出した「緊急財政対策」について、市民から意見を聞くため開催した説明会。会場となった市役所近くの保健福祉センターには300人を超える市民が詰めかけ、用意されたいすが足りずに立ち見で市側の説明に耳を傾ける姿も目立った。

 「銚子市は非常事態の状況にある。楽観的な見通しを示すことはできない。市民と危機感を共有し、同時に希望も共有させていただきたい」。冒頭のあいさつで越川信一市長はそう訴え、理解を求めた。

 これに対し市民からは、「正しいことをしてこなかったから、こうなった」「人件費の削減額が甘すぎる。危機感があるのか」などと厳しい声が飛び、賛同の拍手が沸く一幕もあった。

 今年10月。銚子市は今年度一般会計で6億円以上の歳入不足が生じ、赤字決算になるとの見通しを示した。人口減少により市税や地方交付税が当初の想定以上に減ったことを原因に挙げた。

 さらにその後も赤字が続くと、4年後には国の管理下に置かれる「財政再生団体」に転落する恐れがあるとして、11月には収支改善を図るための緊急財政対策を発表した。

 5年間で44億5千万円の効果を見込む103項目の見直し対象事業は、市職員の給与見直しなど人件費削減のほか、青少年文化会館をはじめとする公共施設の休止や市単独事業の福祉サービス見直しなど、市民生活に影響する部分にまで踏み込んだ。

 「なぜ銚子市の財政はこんなにも厳しいのか」。説明会で自問自答するかのように切り出した越川市長は、「合併できなかったことも大きな要因だ」と理由の一つを述べた。「平成の大合併」で合併した自治体には地方交付税の算定で優遇措置がある一方、合併できなかった銚子市は交付税が大幅に減った。

 越川市長は人口規模が同じ隣の旭市(1市3町が合併)との比較を例に、「普通交付税は銚子市が47億円だが、旭市は79億円。合併のアメとムチの差が大きい」と説明した。さらに根本的な問題として、毎年1千人以上のペースで人口が減少していることが、財政難に拍車をかけているとした。

 こうした窮状を訴え、削減案を羅列する市側の説明に対し、市民からは批判が上がる一方、企業誘致による経済活性化や人口増加などの「前向き」な具体策を求める声も目立った。先行きが見えない市民が抱く不安の表れにも映った。

 説明会では「歴代の市長や市議にも責任はある」と訴える市民もいた。長年、予算案を通し続けてきた市議会や、市政との連携が期待される地元選出県議らの役割もこれまで以上に重くなるのは必至だ。来年春に改選を迎える統一地方選では、打開につながる論戦を期待したい。(城之内和義)