大阪市は、子供の養育費について離婚相手と取り決めをしたひとり親家庭に対し、養育費の受け取りを保証する支援制度を来年度から始める方針を決めた。子供の貧困対策の一環で、本格導入は全国の自治体で初とみられる。市内のひとり親家庭の養育費の受け取り率は、全国平均と比べて低いのが実情。未払いの養育費を回収する保証会社との契約を行政がサポートすることで、確実に受け取れる家庭を増やす狙いだ。
市によると、養育費の条件について双方が合意し、法的効力の強い公正証書などを作成して取り決めをした市民が対象。民間の保証会社と契約をした際に市が保証料(上限5万円)を補助する。
支払いが滞った場合、保証会社が養育費を肩代わりして契約者に支払い、相手側への債権回収を行う。第三者が介することで養育費の確実な受け取りや不払いの抑止が期待できるといい、同様の取り組みは兵庫県明石市が11月からモデル事業として実施している。
厚生労働省の調査(平成28年度)によると、母子家庭で養育費を受けていると回答した人は全国で24・3%だが、大阪市の調査(26年度)では9・8%にとどまる。取り決めをしても未払いとなるケースが多いとみられ、吉村洋文市長は25日に開かれた子供貧困対策の会議で、「養育費は親の義務。社会全体で『逃げ得は許さない』という認識を広めていきたい」と強調した。
市は養育費確保の総合支援策として約2500万円を来年度予算案に計上する予定。保証支援制度の新設のほか、養育費の取り決め自体をしていないひとり親家庭が全国と比べて多い傾向にあることから、公正証書の作成補助や弁護士による無料相談などの体制整備を進めるとしている。